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宝塚の民話・第1集の9

ID番号 1003701 更新日  平成26年11月10日  印刷

冥土へ行ってきた話(めいどへいってきたはなし)

清荒神(きよしこうじん)で知られている清澄寺(せいちょうじ)(注1)に冥土(めいど)へ行って閻魔大王(えんまだいおう)(注2)に遭(あ)ってきたという尊恵上人(そんけいしょうにん)(注3)と言う偉(えら)いお坊(ぼう)さんがいました。
上人は比叡山(ひえいざん)(注4)で修業(しゅぎょう)した僧(そう)で、法華経(ほけきょう)を説(と)き、多くの人達が法華経の説話(せつわ)を聞きに訪(おとず)れていました。

冥土へ行ってきた話の挿し絵

今から数百年むかしの、十二月二十二日の夜のことです。尊恵上人が仏前(ぶつぜん)で一心にお経(きょう)を唱(とな)えていると、浄衣(じょうい)に立烏帽子(たてえぼし)を付(つ)けて、わらじに脚(きゃ)はんを付けた男が現(あらわ)れました。
男は「閻魔大王(えんまだいおう)からの書状(しょじょう)なり」と一通(いっつう)の手紙を上人に差(さ)し出しました。
それには「二十六日、閻魔城(えんまじょう)の大極殿(だいごくでん)で十万人(じゅうまんにん)の僧(そう)を集めて、十万部の法華経を転読(てんどく)(注5)するので参列(さんれつ)せよ」と書かれていました。

尊恵上人は驚(おどろ)き「自分の定(さだ)められた命(いのち)ももはやこれまでなのであろう」と悟(さと)り、静かに念仏(ねんぶつ)を唱(とな)えて、待っていますと、二十五日の夜半(やはん)のこと、二人の童子(どうじ)が迎(むか)えやって来ました。
上人は従僧(じゅうそう)を連(つ)れ、迎えの七宝(しっぽう)の大車(たいしゃ)に乗って、閻魔大王(えんまだいおう)の所に行きました。

法華経の教えを受けた後、「私の命はこれまでなのでしょうか」と閻魔大王に聞いてみると、「そなたは、生前(せいぜん)の行(おこな)いが大変立派(たいへんりっぱ)であったので、再(ふたた)び帰ることができる。摂津(せっつ)の国には、人々に往生(おうじょう)への道を教える所が五ケ所(ごかしょ)あり、その一つが清澄寺(せいちょうじ)である。心して学ぶように。」と言われました。
尊恵上人の冥土(めいど)への旅は、その後も四回続きました。
そして、閻魔大王から銀(ぎん)の箱(はこ)に入った経文(きょうもん)十一巻(かん)が贈(おく)られました。
「これが、そなたに授(さず)けた経文(きょうもん)のすべてである。そなたには不必要(ふひつよう)。
山中(さんちゅう)の宝塔(ほうとう)の下に埋(う)めよ。」と言われました。

尊恵上人は、帰った後も里の人達に往生(おうじょう)への道を説(と)いて聞かせましたが、その後、有馬(ありま)の清涼寺(せいりょうじ)に移(うつ)りました。
ある日、上人が教えを説いての帰り道で、宝塔の下から湯気(ゆげ)が上がっているのを見つけて寺男(てらおとこ)に掘(ほ)らせた所、熱(あつ)いお湯(ゆ)がトクトクと湧(わ)き出たそうです。
そのお湯が有馬温泉の元(ありまおんせんのもと)と伝えられています。

それから二百年ほど後(のち)、村の人が阿弥陀塚(あみだづか)という小山の下から銀の箱を見つけ出しました。その中には法華経(ほけきょう)八巻、無量義経(むりょうぎきょう)一軸(いちじく)、観音経(かんのんきょう)など十一巻が納(おさ)められていて、修行僧(しゅぎょうそう)達の大事な学問書(がくもんしょ)となったということです。

注釈
(注1)清澄寺=せいちょうじ
真言三宝宗の本山で山号は蓬来山。
本尊は大日如来坐像。宇多天皇より、「日本第一清荒神」の称号をいただいたとされる。
荒神信仰と併記されるのは、神仏習合のため。

(注2)閻魔大王=えんまだいおう
死の神として、冥界を支配した王。
地獄の主となり、地獄に落ちた人間の生前の善悪を審判、懲戒する判官。

(注3)尊恵上人=そんけいしょうにん
清荒神清澄寺の天台僧。
「冥土蘇生記」に閻魔庁へ行く話があり、これが「清澄寺縁起」の一部となっており、「平家物語」にも記載されている。

(注4)比叡山=ひえいざん
滋賀県大津市坂本にある天台宗の総本山。
延暦寺がある。最澄の開祖。

(注5)転読=てんどく
法会において、お経の題名、初・中・終の数行を読み、経巻をパラパラめくり、大冊の経巻、特に大般若経などで行われる略式の方法。略読ともいう。
これに対し、きちんと読む方法を真読という。

挿し絵は、市内在住・在学の市民、児童・生徒から募集したものです。

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