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宝塚の民話・第1集の6

ID番号 1003709 更新日  平成26年11月10日  印刷

釈迦ケ谷(しゃかがたに)

釈迦ケ谷の挿し絵

小林(おばやし)の平林寺(へいりんじ)の釈迦如来(しゃかにょらい)(注1)は何百年もの間、時の移り変わりを見てきました。
けれども何時(いつ)の時代も安泰(あんたい)であったわけではありません。事(こと)あるごとに、このお釈迦様(しゃかさま)も、色々な災難(さいなん)に遭(あ)ってきました。
特に日本中で権力争(けんりょくあらそ)いをしていた戦国時代(せんごくじだい)では、気の休まる間もなかった程(ほど)です。
そのような時代では、里の人々も「いつ自分達の村が戦場(せんじょう)になるかもしれない」という不安(ふあん)な毎日でしたから、そのせいで仏様(ほとけさま)を深く信仰(しんこう)していました。
特に平林寺は「釈迦堂(しゃかどう)の小林(おばやし)」「小林(おばやし)の釈迦堂(しゃかどう)」と呼(よ)ばれてお参りする人が多かったようです。

そんなある日、とうとう小林の里が戦火(せんか)に見まわれました。
伊丹(いたみ)有岡城主(ありおかじょうしゅ)であった荒木摂津守村重(あらきせっつのかみむらしげ)(注2)が織田信長(おだのぶなが)(注3)に謀反(むほん)を起(お)こしたのですが、信長は有岡城を攻(せ)めるに際(さい)して、まず伊丹の周辺(しゅうへん)にあった寺という寺をみんな焼き払ってしまいました。
その時、小林の村人達は、仏像(ぶつぞう)だけは守ろうと平林寺に駆(か)けつけ、まず、十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)(注4)と薬師如来(やくしにょらい)(注5)をかつぎだし、次に釈迦如来をと、釈迦堂に近づいたとたん、飛び火によってお堂が燃(も)え上がりました。
「あっ、あー」「おっ、おおー、お釈迦様があー」。
皆が悲しみの声を上げたその時です。お堂の頂上(ちょうじょう)から何かがものすごい勢(いきお)いで飛び出しました。
「お釈迦様が!」
釈迦如来を助けることができなかった村の人達は、焼け落ちるお堂をボンヤリと見つめていました。
やがて戦火もおさまり、家や田畑をなくした里の人達は、食物(たべもの)や、家を建てる材木を集めるため、西の山に入って行きました。

ところが、ふだんは誰(だれ)も通らない「千石(せんごく)ズリ」の手前の谷に、金色(こんじき)の光が立ちこめています。皆は不思議(ふしぎ)に思い、恐(おそ)る恐る下(くだ)って行きますと、なんと、お釈迦様の御首(おくび)が岩の上に鎮座(ちんざ)しているではありませんか。
「おっ、お釈迦様が。ここにお釈迦様が。」喜んだ里の人達は村の再興(さいこう)にも勇気(ゆうき)が湧(わ)いて来ました。村の人々の力で里には活気(かっき)が溢(あふ)れ、平林寺も建て直され、お釈迦様もまた安置(あんち)されました。再(ふたた)び平和のおとずれた里の人達は、お釈迦様への信仰をたつくし、お釈迦様がおいでになった谷を「釈迦ケ谷(しゃかがたに)」と呼(よ)ぶようになったそうです。

注釈
(注1)釈迦如来(しゃかにょらい)
釈迦牟尼(しゃかむに)の尊称。
如来とは真如の理を表し、迷界で衆生を救うものをいう。

(注2)荒木村重(あらきむらしげ)
?~1586。安土桃山時代の武将。摂津の人。
1573年以降、織田信長に属し、功をたてたが、1578年信長に反乱を起こして敗れ、伊丹有岡城を追われて毛利氏をたよる。後、茶道に親しみ豊臣秀吉に近侍し、利休の七哲人の一人となる。

(注3)織田信長(おだのぶなが)
1543~1582。戦国大名。
尾張半国を統一後、今川義元を桶狭間に破り、徳川家康と同盟を結び、美濃・近江を平定。その後、比叡山を焼き、安土城等を築く。天下布武の目的を持ち、各地の武将と対立。石山本願寺を攻め、近畿一円を手にする。中国の毛利氏を攻める途中、京都本能寺で家臣の明智光秀の謀叛によって、殺害された。

(注4)十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)
慈悲・怒り・自牙上出・仏果などの相を表す十一面の面相を持ち、除病・滅罪・求福を示す仏像。

(注5)薬師如来(やくしにょらい)
薬師瑠璃光如来の略。東方浄瑠璃光世界の求主で、衆生の病苦を救うとされる。一般には、薬壺を持つ。

挿し絵は、市内在住・在学の市民、児童・生徒から募集したものです。

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