水道料金改定の答申に関するQ&A

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ID番号 1053199 更新日  2023年9月4日

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 上下水道事業審議会から水道料金の改定が必要であるという答申(令和5年4月25日付)を受け取り、6月以降、その内容について市民説明会などを開催しました。その際に皆さまからいただいた質問を整理し、主な質問の回答を作成しましたのでご覧ください。

Q1 コロナ禍が完全に収束しない中で物価の高騰があり、改定するにはタイミングが悪いのではないか?

コロナ禍や物価高騰など厳しい社会情勢の中、水道料金改定の答申が提出され、反対だと感じられる方も多くおられると理解しております。しかし、今後人口減少が見込まれる中、毎年度経常損失が生じている水道事業の問題を先送りにすれば、将来の更なる負担につながるため、安定した水道事業を継続する為にできるだけ早い時期に料金改定が必要だという審議会の提言を真摯に受け止める必要があると考えています。

水道事業は平成30年度から令和4年度まで5年連続で経常損失が発生している一方、施設の老朽化により多額の更新費用が必要となっています。利益が出ない現状で更新を行うためには借入に頼らざるを得ませんが、過度な借入は将来への負担の先送りとなります。よって、借入を抑制するためにも、改定により利益を確保する必要があります。

答申には平均改定率19%と示されており、答申どおりに改定が行われた場合、皆様に大きな負担をお願いすることとなり、心苦しい限りです。

水道事業を守り、将来に引き継いでいくために、ご理解のほどお願いいたします。

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Q2 40年以上値上げをしていないということだが、もっと早い段階で検討すべきではなかったのか?

水道事業が平成30年度から令和4年度まで5年連続で経常損失が発生している状況にあるなかで、この度、44年ぶりの料金改定を提案することになりました。水道事業の経営を考えれば、本来であれば、もっと早い段階で改定を行うことが望ましかったと考えています。

これまで「できる限り安価に水を提供する」という思いから、現行料金を据え置いてきました。これができたのは、水道料金以外に「新しく水道をお使いになる方に支払っていただく分担金」が一定額あったためです。その影響で長らく黒字経営を維持してきたこともあり、水道料金の値上げは容易でない状況にありました。

しかし、しだいに分担金が減少してきたことにより、その構造を維持することができなくなり、「水道を供給するための給水原価」に見合った水道料金とすることが急務となりました。こうした経過を教訓として、今後は、料金水準の妥当性を適宜、検証していく必要があると認識しています。

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Q3 料金改定をする前に、経費の削減に取り組むべきではないのか?

ご指摘いただいたとおり、料金改定にあたっては、まず経費の削減が最優先であると認識しており、経営努力を続けてきました。主なものとしては、水道事業の職員の削減、水道施設の有効活用、民間活力の導入を行ってきました。職員の削減としては、最大で122人いた職員を85人まで削減しています。水道施設の有効活用としては、廃止した浄水場をポンプ場などとして活用しています。また、民間活力の導入としては、年間で1億円のコスト削減を実現できており、内容は次のとおりです。

配水施設管理業務 (経費削減額:2,804千円)

料金収納業務 (経費削減額:53,456千円)

浄水場休日夜間等運転管理業務委託 (経費削減額:33,424千円)

施設監視業務 (経費削減額:10,800千円)           

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Q4 販売価格が原価割れをしているとのことだが、今回改定することで原価を回収できるまでになるのか?

令和3年度は給水原価180円に対して供給単価は151円となり、29円の原価割れが発生しています。過去10年間の原価割れの平均額は約20円で、近隣市では、宝塚市だけが原価割れしている状況です。

宝塚市は、近隣市と比較して、人口に比して面積が広く、高低差があるという地理的特徴があります。それにより、市民一人当たりの管路延長が長く、高い場所にある配水池に送水するために多くの電力を必要とするなど、水を届ける費用が近隣市よりも多くかかる状況にあります。一方で、比較的安価な料金水準となっていますので、結果として原価割れが生じています。職員の削減、民間活力の導入、水道施設の有効活用といった経営努力には努めていますが、経営努力だけでは解消できない現状にあります。

今回、平均19%の改定を実施した場合、供給単価は給水原価をわずかに上回ります。具体的な数値としては、令和7年度の供給単価は180円になる見込みであり、原価割れは解消できると見込んでいます。

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Q5 今回値上げしたら、しばらくは改定しなくて済むのか?

令和3年度に見直しを行った経営戦略の費用額を採用し、電力料金の高騰等が以前の状態まで下がるとした場合、平均19%の改定により、今後10年程度は利益が生じると見込んでいます。しかし、電力料金の高騰が続く、あるいは更に料金が上がるということになれば、利益が生じる期間は短縮されます。そのため、次回の料金改定の時期を見込むことは現時点では困難ですが、将来の費用や収益等が経営戦略の見込みと同程度であると仮定した場合、利益が生じる期間である10年程度は改定を行わないでも良いと考えています。

人口減少や施設の老朽化など、厳しい経営状況が続きますが、次の改定をできる限り先送りできるよう、更なる経費削減やダウンサイジングによる効率的な経営に努めます。

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Q6 阪神水道企業団からの受水を開始したことにより受水費が大きく増加している。受水を開始するという経営判断は正しかったのか? 

ご指摘いただいたとおり、阪神水道企業団からの受水を開始したことにより受水費が大きく増加しています。その一方、受水を開始したことにより、亀井浄水場及び小林浄水場の運転を停止したことから、浄水場の維持費は減少しています。受水を開始した理由は、亀井浄水場(供用開始 昭和48年)及び小林浄水場(供用開始 昭和37年)の老朽化に伴い、浄水場を更新するか、浄水場の運転を停止して阪神水道企業団からの受水を開始するかの選択を行う必要が生じ、受水を選択する判断を行ったためです。平成29年4月から受水を開始し、平成30年4月からは、1日当たりの基本水量19,145㎥を受水しています。受水費の実績は次のとおりです。それに対して、2つの浄水場を更新した場合、毎年度7億円を超える費用が必要と試算していましたので、阪神水道企業団からの受水は費用が安価になるという利点がありました。

平成30年度受水費  4.33億円

令和元年度受水費  4.96億円

令和2年度受水費   4.81億円

令和3年度受水費   4.74億円

令和4年度受水費   5.42億円

また、費用の推移を見ていただければお分かりいただけるとおり、阪神水道企業団からの受水費は増加傾向にあります。川下川貯水池や一庫ダムの渇水などによる受水量の増量が原因です。亀井浄水場及び小林浄水場は地下水を水源としており、取水量に制限がありました。このため、もし2つの浄水場を更新するという選択をしていた場合、川下川貯水池や一庫ダムの渇水により、皆様に十分な水を供給できていなかった可能性もあり、安定供給という点においても、阪神水道企業団からの受水という判断は妥当であったと考えています。

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Q7 民間活力の導入や広域連携についてどのように考えているのか?

民間活力の導入についても、広域連携についても、これからの水道事業には不可欠と考えています。実際には、民間活力の導入として、施設の管理業務、浄水場の休日夜間等運転管理業務、料金収納等業務などを民間委託してきました。また、平成28年度から、広域連携の一環として、阪神水道企業団からの受水を開始しています。

現在、阪神水道企業団の構成市である神戸市・尼崎市・西宮市・芦屋市、また、阪神北地域水道協議会のメンバーである伊丹市・川西市・三田市・猪名川町とは、定期的に広域連携を含めた水道事業全般の情報交換などを行っています。また、今後の具体的な検討案件としては、西宮市と連携(共同)し、新たな水道施設(配水池)の整備計画や、伊丹市・川西市・猪名川町と「広域連携に係る協議会」を設置し、「水道事業全般の連携」の可能性について、協議・検討を行っています。

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Q8 老朽化が進んでいるということだが、管路の更新計画はあるのか?また、いつまで更新を続ける必要があるのか?

水道管路の総延長は、令和4年度末現在で、約812km(導水管16.522km+送水管77.001km+配水管719.451km=812.974km)あり、平成28年度に策定した「宝塚市水道事業経営戦略」に基づき、管路耐震化・更新事業として、毎年9.2億円の事業費を計上し、令和元年度に策定した「管路更新・耐震化計画」に基づき実施しています。令和5年度においては、「管路更新・耐震化計画」の補足として、AIを利用した「水道管路劣化予測診断」を実施し、より効果的かつ効率的な事業を行っていきます。

現在、管路の更新工事に使用している管材料は、東日本大震災でも耐震性能が実証されている耐震性・耐久性の優れた「耐震ダクタイル鋳鉄管」を使用しています。また、管路の継ぎ手部分には、「離脱防止機能」を備えています。宝塚市では、この耐震ダクタイル鋳鉄管を平成11年度から採用しており、法定耐用年数40年に対し、使用年数を80年として、事業を進めています。令和4年度末現在で、総延長約812kmに対して、耐震ダクタイル鋳鉄管の延長は、95.248kmで、11.73%となっています。鋼管(7.546km)を含めた耐震化率は、12.64%となっています。

また、いつまで更新を続ける必要があるかにつきましては、使用年数80年で更新しようとしていますので、すべての更新を終えた時点で、1年目に更新した管路が寿命を迎えるため、更新事業に終わりはなく、永久に続ける必要があります。

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Q9 パブリックコメントは実施しないのか?

パブリックコメントは、行政機関が条例などを定めようとする際に、事前に、広く意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公平さの確保と透明性の向上を図り、市民の権利利益の保護に役立てることを目的としています。本市では宝塚市市民パブリックコメント条例を制定して、この条例に基づいてパブリックコメントを実施しています。

同条例の第4条にパブリックコメント手続きの対象となる項目が列挙されています。その中で、「市税、使用料、手数料その他の金銭の徴収に関するものを除く」とあり、水道料金の改定はパブリックコメント手続きの対象ではないとされています。

なお、ここにあるように、これまでいただいた市民の意見を一覧にし、上下水道局の考えも合わせてお知らせしています。パブリックコメントは実施していませんが、こうした取組は、意思決定プロセスの透明性の確保にも寄与するものと考えています。

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Q10 経営戦略で定めた目標の未達成がある。これを達成してから、料金改定を行うべきではないのか?

水道事業経営戦略は、将来にわたり安定的に事業を継続していくために策定する中長期的な基本計画です。計画期間は、平成28年度から令和7 年度までの10年間となっています。このため、10年間に必要な投資や財源を予測し、収支均衡の計画を策定することが理想です。本市の場合、策定段階で、深刻な収支不足が予想されたので、まずは、収支均衡に向け、徹底した経営健全化により大幅なコスト削減を目標に定めました。具体的には、全11項目の取組で「10年間で約49億円」の削減目標を掲げました。これは、水道事業1年間の費用総額の約11%に相当する規模です。これらの取組を実行したとしても、収支予測としては10年間で約23億円の収支不足が明らかになりました。

同戦略を策定後、5年が経過した令和3年に中間見直しを行いました。社会経済状況の変化や経営健全化の進捗状況を踏まえ、適宜必要な見直しを行い、市民にも明らかにする必要がありました。この時点では、経営健全化の取組11項目中、10項目について一定の成果がありました。しかし、削減額では前期5箇年(H28~R2)で当初約26億円の目標が、実績で約13億円となりました。この未達成の大半は、廃止した浄水場の跡地活用(約11億円)が実施できなかったことによるものです。

こうした状況を受け、削減に向けた対策を強化するため、中間見直しにおいて、後期5箇年(R3~R7)であらたな取組を追加しました。その結果、後期では、目標額24億円を達成できる見込みとなりました。全体をとおして、同戦略で当初定めた「10年間で約49億円」という目標は、中間見直しにより、約38億円、達成率にして76%の削減を見込んでいます。

このように、上下水道局として、経営健全化に努めてまいりました。しかしながら、当初掲げた目標には、現時点で未達成なものが残されています。本来なら、自ら掲げた目標をすべて実行し、それでもなお、赤字が見込まれる場合に、市民に負担をお願いしていくのが、あるべき姿と認識しています。しかし、現時点で目標の完結が困難な状況のなかで、その達成に更なる年月をかけ、これ以上、料金改定を先送りにすることは、将来、市民に、より大きな負担を求めることになり、あってはならないことと認識しています。

未達成の取組は、現在も実現に向け、鋭意取り組んでいます。また、現在進行中のあらたな取組によって、令和8年度以降に大きな効果額が期待できる状況にあります。今後とも、料金改定の必要性について、市民の皆さまに、ご理解いただけるよう、努めてまいります。

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Q11 小林浄水場・亀井浄水場の処分はどうなっているのか?

令和元年度の「小林・亀井浄水場解体・跡地整備基本設計業務委託」において、それぞれの概算解体工事費用を算出した結果、高額な費用となり、全撤去後の売却は現実的ではないと判断し、有効な利活用について苦慮しているところです。令和4年度には、亀井浄水場の「サウンディング型市場調査」を実施しましたが、有効な案は生み出せませんでした。今後も引き続き、有効な利活用を検討していくこととしています。

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Q12 不足分は市税で補てんし、水道料金を安く抑えることはできないのか? 

水道事業は地方公営企業法という法律の下に事業を行っています。地方公営企業法の第17条の2に、水道事業の経費は、「経営に伴う収入をもって充てなければならない」とあり、独立採算が求められています。つまり、原則として、税金によらず、水道料金などによって経費をまかなうものとされています。

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Q13 庁舎の建て替えが料金改定の原因ではないのか?

経営が苦しいこの時期に庁舎の建て替えを行った理由は、平成22年に旧庁舎の耐震性診断を行った結果、耐震性が低く、震度6の地震で倒壊崩壊する危険性があると判明したためです。旧庁舎のIs値は0.15でした。Is値(構造耐震指標)とは、建物の耐震性能を示す指標で、0.6以上で耐震性能を満たすとされています。よって、旧庁舎では、来局いただいた事業者や市民の皆様、働いている職員の安全を確保できないと判断し、建て替えを実施しました。

長期にわたって使用する施設であり、その使用期間の各世代に負担していただくため、借入金によって建て替えを行いました。よって、庁舎の建て替えが料金改定の原因となったということはありません。

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Q14 審議会の内容は何かで確認できるのか?

上下水道事業審議会の審議内容はホームページでご覧いただけます。審議会で使用した資料と議事概要を掲載していますのでご覧ください。

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Q15 基本料金と従量料金に分かれている理由は?

水道の基本料金は、メーター検針の経費等の基礎的な経費に充てるためにいただいている料金です。これらの経費は使用量にかかわらず発生する費用であるため、使用量がなくてもお願いする費用となっています。更に、基本料金は口径別料金制を採用しています。口径別料金制を採用している理由は、口径が大きいほど一度に多くの水を使うことができ、それに備えて水道施設を整備する必要があり、それに応じた負担をお願いするためです。神戸市・尼崎市・西宮市・伊丹市・川西市などの近隣市においても本市と同様の口径別基本料金制度を採用しています。また、従量料金は水量に応じてお願いする費用で、水量が増えるほど逓増する単価を採用しています。

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Q16 どの程度借入金があるのか?

 令和4年度末の水道事業の借入金の残高は約154億円です。年度末の借入金残高をその年度の水道料金収入で割った比率(令和3年度実績)は426%となっています。この数値は、全国平均265%、類似団体平均285%と比べてかなり高くなっており、宝塚市は他市に比べて借入金に依存して経営している現状となっています。

借入金残高が多額となっているのは、本市の施設が近隣市に比べて多いことが原因です。本市の「1人あたりの管路延長」は3.49mと他市に比べて長く(尼崎市2.25m、西宮市2.49m、芦屋市2.7m、伊丹市2.76m、川西市4.02m、三田市6.45m)、配水池も48カ所(尼崎市9カ所、西宮市18カ所、芦屋市11カ所、伊丹市4カ所、川西市20カ所、三田市21カ所)と多くなっています。

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このページに関するお問い合わせ

上下水道局 経営管理部 総務課
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