第24回身体障害者補助犬シンポジウム毎日新聞紙上掲載について(令和4年12月4日付毎日新聞朝刊)

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ID番号 1049332 更新日  2023年1月1日

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宝塚で第24回身体障害者補助犬シンポ

◇未来へつなげ理解の心

 「第24回身体障害者補助犬シンポジウム」(宝塚市、宝塚市教委、毎日新聞阪神支局主催)が11月26日、宝塚市のフレミラ宝塚であった。2022年は補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)法施行20年の節目の年。補助犬シンポでは、日本介助犬使用者の会会長の木村佳友さん=宝塚市=と、衆院議員時代に補助犬法成立に尽力した前宝塚市長の中川智子さん、兵庫介助犬協会理事長の北澤光大(みつひろ)さんらの座談会と、小中学生の介助犬トレーニング体験があった。                  【稲田佳代、亀田早苗、土居和弘、稲垣淳】

座談会
身体障害者補助犬法施行から20年がたち、座談会では、補助犬普及に向けた課題などが話し合われた=兵庫県宝塚市のフレミラ宝塚で

◇増えぬ頭数、社会でできることは

 座談会は毎日新聞神戸支局の山本真也記者をコーディネーターに、3氏に話してもらった。

山本記者                                                                                                                  補助犬法20年。この機会に私たちがもう一度振り返って、何をすればいいのか、ヒントを出せればと思います。

木村さん                                                                                                                 補助犬法ができて(店や公共施設などで補助犬との入店を断られる)同伴拒否は減りましたが認知度はまだまだ。当初は法律の名前も内容も知らない人が55%でしたが、4年前は70%まで増えていました。介助犬は国内で53頭ですが、75頭まで増えた時期がありました。ここ数年は盲導犬と聴導犬も減ってきています。障害者が補助犬と一緒に自由に社会参加できるようになってほしいです。

木村さん
木村佳友さん

◇補助犬法成立の経緯

山本記者                                                                                                                  どういう形で補助犬法が成立したかを振り返りましょう。

木村さん                                                                                                                 僕は1996年にシンシアと生活を始めましたが、どこに行くにも同伴拒否ばかり。電車に乗るのも試験を受ける必要がありました。ある忘年会に行くと中川さんがいました。1時間くらい話をしましたが、テーブルの下のシンシアに気付いていませんでした。中川さんは落としたスプーンか何かを拾おうとしてシンシアがいるのに初めて気付きました。介助犬を説明すると、中川さんは「国会に来て介助犬のことを教えて」と言われました。中川さんを始め、勉強会に参加した国会議員が介助犬を推進する議員の会を作ってくれて、国会で議論されることになりました。

山本記者                                                                                                                 木村さんらが国会や議員会館で実際に見てもらって議員の心を動かす瞬間を僕も取材で見ました。

中川さん                                                                                                                 木村さんとシンシア。介助犬が一人の人生の中で、体も心も支えている姿に多くの議員が感動しました。通常の議員連盟の出席は、ほとんどが秘書。でも介助犬の議連は木村さんや関係者の話を聞きたいと、議員本人が来ました。議連会長は田中真紀子さんでしたが、外務大臣になり、次の会長が首相経験者の橋本龍太郎さん。橋本さんの父(橋本龍伍元厚相)は足が不自由でした。小学生の時に駅で父のかばんを持っていると、足が悪いだけで父が「邪魔だ」と押されたり、悔しかったそうです。父は犬を飼っていて、縁側なんかで家族に言えないつらいことを犬に話していたのではないか、だから自分が議連会長をしているのは父も喜んでくれる、と話をするんです。みんなうるうると来て一緒に頑張ろうと思ったもんです。みんなの熱い思いでできた法律です。

 

 

 

中川さん
中川智子さん

◇介助犬育成の課題

山本記者                                                                                                                  介助犬は潜在的需要から数が増えていくと思っていたら、そうではありませんでした。

北澤さん                                                                                                                 介助犬が増えるための要素の何もかもが足りていません。補助犬になる犬の数、育てるトレーナーの数、トレーナーを養成する運営資金も潤沢でありません。この仕事は条件や待遇で恵まれているわけではありません。生き物相手なので拘束時間が予定より延びたりする。働き方を改善しないと若い世代が続けていきにくいのかと思います。同伴拒否があるのは、障害者が補助犬を選択しづらい要因と思います。また、障害者も介助犬を特別詳しく知っているわけではないので障害者が介助犬と暮らす選択がしやすい情報発信をしないといけません。

山本記者                                                                                                                 なぜ2頭目、3頭目の介助犬を諦める人が多いのかを教えてください。

木村さん                                                                                                                 高齢になって持てないという人もいますが、同伴拒否が嫌で諦めたり、引退する補助犬との別れがつらくて、次の補助犬との暮らしを諦める人もいます。個人の理由は仕方がありませんが、社会の問題で補助犬使用者の社会参加が妨げられることがないように改善していきたいです。

 

 

北澤さん
北澤光大さん

◇教育で認知度アップ

山本記者                                                                                                                  こうした課題を前に我々は何をしていけばいいのかを考えましょう。

北澤さん                                                                                                                  私はこの仕事にやりがいを感じています。若い人はSNSとか動画サイトとかを見ていると思うので、仕事の魅力を発信できれば。介助犬トレーナーはノウハウが必要な職種。携わった人が長く続けられる環境をより整えていきたいと思っています。

木村さん                                                                                                                 未来を担う子どもたちに補助犬を知ってもらうと、大人になった時に実践してくれるはずなので、学習指導要領の心のバリアフリーに補助犬の項目を入れてくれるように5年前からお願いしています。子どもの時に学校で補助犬を学んでくれれば、みんなが過ごしやすい社会になると思っています。

中川さん                                                                                                                 JR宝塚駅ではシンシア像を親子でなでて、観光客もシンシアの説明を読んでいます。それを見ると介助犬を理解しよう、学ぼうとする人がいかに多いか実感してうれしくなる。みんなで考えればいろんな知恵が浮かんでくる。補助犬法を未来につないでいかないといけないと改めて思いました。

◆座談会発言者

<パネリスト>
木村佳友さん(日本介助犬使用者の会会長)
1987年に交通事故で車いすの生活に。初代介助犬シンシア、2代目エルモ、3代目デイジーと共に長年、介助犬など補助犬の普及啓発に取り組んでいる。
中川智子さん(前宝塚市長)
1996年から衆院議員を2期7年務め、身体障害者補助犬法の成立に尽力。2009年からは宝塚市長として「市障碍者差別解消条例」などに取り組んだ。
北澤光大さん(兵庫介助犬協会理事長)
2005年に西宮市に兵庫介助犬協会を設立。介助犬の訓練や、介助犬使用者の指導のほか、介助犬の啓発活動、訓練士の養成などにも携わっている。
<コーディネーター>
山本真也記者(毎日新聞神戸支局記者兼地方部エリア編集委員)
1988年に入社。阪神支局記者だった1998年、木村佳友さんと介助犬シンシアに出会い、介助犬キャンペーン報道を担当した。

介助犬トレーニング体験

◇目を合わせて…グッド!!
 子どもら、指示出しに挑戦

 補助犬シンポでは、宝塚市内の小学5年~中学1年の子どもたち6人が、認定NPO法人「兵庫介助犬協会」(西宮市)の指導で、介助犬のトレーニングを体験した。子どもたちは3人ずつに分かれ、会場3階の会議室で同協会のPR犬のココスとアリシアの2頭とそれぞれ練習。最後に1階メイン会場で成果を披露した。

訓練体験1
兵庫介助犬協会のトレーナーから犬との触れ合い方などを教わる子どもたち

 初めに、同協会のトレーナーの秋山美樹さん(28)と井土希さん(38)が、犬とのコミュニケーションの取り方や指示通りに動けた時の「トリーツ(ご褒美のエサ)」のあげ方を指導。犬と子どもたちが打ち解けたところで、介助動作のトレーニングに入った。御殿山中1年の近藤咲夏(さきな)さん(13)は、コインを拾ってもらう指示に挑戦し、ココスがうまく渡せるよう手を皿のようにして見守った。「最初はできるか不安だった」という宝塚第一小5年の中崎湖子(ここ)さん(11)は、アリシアとしっかり目を合わせて指示を出し、冷蔵庫からペットボトルを取って来る難易度の高い訓練に成功。宝塚小5年の松井理央さん(11)は、携帯電話の液晶部分を傷つけないようストラップをくわえて持って来たココスに、優しく「グッド」と声をかけた。

訓練体験2
子どもたちの介助犬トレーニング体験で、コインを拾う訓練に取り組むPR犬のココス

 約45分間の練習が終わると、秋山さんは「失敗しても大丈夫。できた時にたくさんほめてあげて」とアドバイス。シンポの参加者の前で訓練体験の成果を見せる本番では、全員がスムーズに指示を出し、2頭は元気いっぱいに介助動作を披露した。宝塚第一小5年の白井陽樹(はるき)さん(11)は、指示が伝わりやすいよう声の大きさを意識して本番に臨み、「最初は難しそうだったけど、楽しくて面白かった」とはにかんだ。
 待ち時間にも熱心に指示の出し方を再確認していた同小5年の中崎流衣(るい)さん(11)は「仕事をする犬と触れ合いたくて参加した。友達にも介助犬のことを伝えたい」。犬好きで福祉にも関心があるという同小5年の西原里咲(りさ)さん(11)は「介助犬を見たのは初めて。とてもいい体験ができました」と喜んだ。

訓練体験3
         体験の成果を披露する子どもたちと、指示を受けて冷蔵庫から             ペットボトルを取ろうとするPR犬アリシア

このページに関するお問い合わせ

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〒665-8665 宝塚市東洋町1番1号 本庁舎1階
電話:0797-77-9110(手帳・自立支援医療担当) 0797-77-2077
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