宝塚温泉 ~タンサンと湯のまちのルーツさがし~
宝塚歌劇で知られる宝塚市ですが、「湯のまち宝塚」と呼ばれているのをご存じですか?「宝塚温泉」の歴史は古く、鎌倉時代にはその存在が京の都まで知られていました。明治時代には温泉街として栄え、その歴史は今でも語り継がれています。さらに、「宝塚温泉」は大人気の炭酸飲料「ウィルキンソン タンサン」と深い関係にあります。古くから愛され続ける宝塚温泉の歴史やスポットについてご紹介します。
開湯800年の歴史を持つ「宝塚温泉」
宝塚の地は800年前から温泉などの資源に恵まれていました。
最も古い記録は、鎌倉歌人である藤原光経(みつつね)の歌集に残されており、貞応2年(1223年)に宝塚にあった小林の湯を訪れ、「旅人の行き来の契り結ぶとも 忘るな我を我も忘れじ」と詠み土地の遊女に贈ったとされています。
宝塚が本格的に温泉地として最初に開かれたのは、明治中期。武庫川に湧き出していた「酸い水と鹹(しおから)い水」が、飲用にも浴用にも適した良質な鉱泉水であることが分かり、明治20年(1887年)に兵庫・大阪の有志が「宝塚温泉」を開業しました。

しかし、開業当時はまだ鉄道がなく、入浴客が思うように増えず明治25年(1892年)に最初の温泉場が閉鎖。その後、宝塚温泉場持主組合によって復活したものの、明治30年(1897年)の大雨で武庫川が氾濫し、浴場が流失してしまいます。
それでも「宝塚温泉」は明治32年(1899年)に再復活。明治30年(1897年)に阪鶴鉄道(現在のJR)が宝塚まで開通していたため、再建された温泉場は大賑わい。50軒以上の旅館や土産物店などが立ち並ぶなど、一大温泉地として栄えました。
その後、温泉街はマンション開発が進み住宅地となり、また阪神淡路大震災も相まって旅館数が減少。現在、宝塚温泉の泉源を利用しているのは、「ホテル若水」、「宝塚ワシントンホテル」、「ナチュールスパ宝塚」のみとなりましたが、この3施設で宝塚温泉の歴史を守っています。
宝塚市発祥「ウィルキンソン タンサン」
「ホテル若水」の前に「天然たんさん水 この下にあり」と刻まれた石柱があるのはご存じでしょうか。これは武庫川の氾濫で消失したとされる石柱を復元したものです。
実は、明治22年(1889年)頃、イギリス人のジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏が宝塚(武庫川の傍ら)で優良な炭酸鉱泉を発見しました。翌年、その鉱泉から湧き出す「酸い水」を瓶詰めして炭酸水を発売することを思い立ち、宝塚の紅葉谷に瓶詰め工場を設け、生産、販売を開始しました。その炭酸水が現在大人気の「ウィルキンソン タンサン」のルーツであり、実は発祥の地は宝塚なのです。現在も気象状況によって宝来橋のたもとからぷくぷくと炭酸気泡が湧き出る様子を確認することができます。

ジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏は、瓶詰工場を設立後、外国人を誘致するため洋式高級ホテル「タンサンホテル」を開業。多くの外国人が宝塚の地を訪れました。明治37年(1904年)、宝塚の鉱泉が枯れてきたため、優れた炭酸泉を湧出していた西宮市生瀬に工場を移転。平成2年(1990年)の閉鎖まで、約90年にわたり、稼働していました。現在、ウィルキンソンブランドの飲料は、兵庫県明石市のアサヒ飲料工場で生産されています。

平成7年(1995年)に生瀬工場は解体され、マンションとなってしまいましたが、そのすぐ横に「ウィルキンソン記念館」が設立され、写真や資料などが展示されています。
また、「ナチュールスパ宝塚」の横に「ウィルキンソン タンサン」のみの自動販売機が設置されています。世界に一つだけの自動販売機で、宝塚でしか見ることができません。
TANSAN HISTORY MAPが完成しました
タンサンと関わりの深い宝塚ですが、ついにジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏の歴史と炭酸ゆかりの地を巡る「TANSAN HISTORY MAP」が完成しました。このマップには炭酸に関連するスポットが簡単にわかりやすく掲載されています。知らなかったスポット・歴史など、新しい発見があるかもしれません。ぜひご覧ください。
ひょうごフィールドパビリオンで「タンサン」と「温泉」をPRします!
2025年大阪・関西万博開催に伴い、兵庫県では各地域が主体となって魅力を発信する「ひょうごフィールドパビリオン」が展開されます。
宝塚市観光にぎわい課では、宝塚市発祥の「ウィルキンソン タンサン」、開湯800年の歴史をもつ「宝塚温泉」、この2つをPRいたします。
ここで、タンサンと温泉にまつわるスポットをご紹介します✨
(1)寿楼泉源(間欠泉)
「寿楼(ことぶきろう)」という旅館があった場所に、源泉が噴き出す間欠泉があります。鉄分を多く含んでいるため、オレンジ色に染まっています。 (現在は噴き出す様子はほとんど見られません。)
(2)ウィルキンソン タンサン自動販売機
ウィルキンソン タンサンといえば、現在はアサヒ飲料から販売されている炭酸水ですが、実は宝塚で生まれた炭酸水です。イギリス人のジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏が狩猟の途中で宝塚に立ち寄った際、炭酸鉱泉を発見したことが始まりでした。
オリジナルラッピングが施された「ウィルキンソン タンサン」しか置いていないこの自動販売機は、話題のスポットとして注目を集めています。
(3)ナチュールスパ宝塚
阪急・JR宝塚駅近くに建つ日帰り入浴施設です。ここでは、開湯800年の歴史を持つ宝塚温泉を堪能でき、一度の入館で「茶色に濁った"金宝泉”」「透明な"銀宝泉”」の2種類を楽しむことができます。それぞれ異なる効能がありますが、どちらの温泉も体の芯から温まり、湯冷めしにくいのが特徴です。
1階ロビーには、タンサンホテルやタンサン工場があった明治時代の様子を再現したジオラマを展示しています。また、館内にはウィルキンソンと宝塚の歴史を紹介するパネルも展示されています。
(4)タンサン湧出場
武庫川の底からぷくぷく…と気泡が浮かび上がるのが見えます。これは炭酸泉の気泡です。(川の増水時には、気泡は見えなくなります。)。武庫川右岸に宝塚温泉場ができたのは明治20年(1887年)で、その傍らには炭酸泉があったと伝えられています。
YouTubeで炭酸が湧き出ている様子を公開していますので、ぜひチェックしてみてください。
(5)湯本台広場(老舗旅館分銅屋跡地)
老舗旅館分銅屋の跡地は「湯本台広場」となり、近隣住民の憩いの場となっています。そして、その山手にはもともと洋式高級ホテル「タンサンホテル」がありました。現在は住宅地となっています。ホテル若水では、当時の街の様子を再現したジオラマを設置中です。
(6)炭酸煎餅本家 黄金家
黄金家は1897年創業の老舗で、昔懐かしい宝塚温泉名物「炭酸せんべい」を販売しています。小麦粉に砂糖を混ぜて焼いたせんべいで、サクサクとした食感でほんのり甘く、昔からお土産として親しまれています。時間によっては店頭で製造工程も見ることができます。
(7)ホテル若水
ホテル若水は武庫川のほとりに立つ温泉旅館です。8階には「寶塚温泉」と書かれた立派な看板、昔の温泉街の写真が展示されています。このようにホテル若水では温泉やタンサンの歴史を伝える品がいくつも展示されており、くつろぎながら歴史を学ぶことができます。
万博期間中には「タンサン」と「温泉」にまつわる街あるきツアーを実施いたします。ぜひ皆さまご参加ください✨
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産業文化部 観光にぎわい課
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