小林一三記念館

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ID番号 1041576 更新日  2021年4月26日

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宝塚を作った小林一三さん

この題名を見た時「なんで小林一三?」と思う人がいると思います。その宝塚自体を作ったのが小林一三さんなのです。
「では何をしたの?」そう思う人が出てくると思います。一三さんは梅田から宝塚まで鉄道を敷き、宝塚を発展させていきました。それまでは人がいなかった場所に宝塚新温泉を開業させたり、宝塚歌劇団の前身となる宝塚唱歌隊をつくり、人が集まる仕組みを作ったりしました。
詳しくは下の文章で!

住宅地に潜む豪邸⁉︎

小林一三記念館の外観

上の写真を見ると、一見、普通の大きな家に見えますよね。ですが、これが大阪府池田市にある小林一三記念館です。私も、行ってみてすごく驚きました。館内の様子とインタビューしたことについて、書いていきます。
 

中の様子は・・・

記念館に行ってまず一番最初に訪れたのは待合室。それもただの待合室じゃないんです! 下の写真が待合室なんですが、小林一三さんのビデオや、資料が飾られていました…!ここで、予習してから中に入りまーす♪

待合室(小林一三記念館内)

まず出迎えてくれるのが下の写真の場所です。これは、なんと阪急神戸線や宝塚線など、小林一三さんが関係している沿線の名称で分かれているんです…!
さらに、写真には写っていないのですが、壁の反対側は阪急電車の色になっています。阪急電車の創始者である小林一三さんならではだと思いました♪

小林一三記念館内の様子

次に案内してもらったのが、雅俗山荘(がぞくさんそう)です。ここでは、小林一三さんが暮らしていた当時の家の内装が再現されていて、小林一三さんの声を録音したものも聞けます。他の所では体験できないことができました。一つ一つに歴史の重みがあってすごくよかったです。

雅俗山荘

私達を案内してくれた仙海さん

インタビューもさせていただきながら、細やかにたくさん教えていただきました。

取材風景

最初にしたのは、人を増やすこと

まず、小林一三さんがしたことは、宅地開発です。当時、宅地開発という発想は全くなかったそうで、「定期的にお金を払うことで自分達の家になる」、これは住宅に住んでいる人達にとって画期的なものでした。新しい事を考えて何もない土地に価値を生み出す、その発想がすごいなと感心します。

小林一三記念館 館内の展示パネルより(1909年 池田市の宅地開発パンフレット)
小林一三記念館 館内の展示パネルより
(1909年 池田市の宅地開発パンフレット)

電車に乗ってもらうために…

その次に電車に乗ってきてもらうために箕面動物園をつくりました。当時、小林一三さんは「目的がないと電車には乗らない」と考え、行きたいと思う場所=箕面動物園を建てたそうです。長く続かなかったようですが、地元や他府県の方からも、とても愛されていたそうです。私は、一度お客さん側に視点を置いて考えるアイデアが街を変えたのだと思いました。

 

箕面動物園
小林一三記念館 館内の展示パネルより
(箕面動物園)

阪急百貨店

その次に、一三さんは「お客様がわざわざ梅田まで行きたい。そう思ってくれないと人はさらに来てくれない。」と気づき、阪急マーケットを作りました。今で言う”コンビニ”のような物です。さらに、第一号店の阪急梅田百貨店を建てて、それと阪急電車を合わせました。これにより、他府県からも梅田を目的に来る方が増えたそうです。私は、阪急百貨店と阪急電車を合わせたというのは知っていましたが、コンビニの元祖も小林一三さんが作ったとは知らなくて驚きました。

小林一三記念館 館内の展示パネルより(1929年の梅田阪急ビル)
小林一三記念館 館内の展示パネルより
(1929年の梅田阪急ビル)

有馬温泉との関わり

最後に小林一三さんが取り組んだのは、阪急電車の線路を有馬温泉まで引くという事です。ですが、これは成功しませんでした。というのも、有馬温泉まで線路を引いてしまうと、有馬温泉で泊まってくれる方が減ると考えたからです。今まで少し不便なところにあったからこそ宿泊していましたが、電車が通ってしまうことで便利になり、日帰りのお客さんが増えるからです。私はそれに気づいた小林一三さんもすごいと思いました。
そのかわりに宝塚歌劇ができました。裏を返すと、有馬温泉まで線路を引かなかったから宝塚歌劇ができたのです…!これは、運命なのかなと私は思いました。

 

宝塚歌劇

そのように偶然出来た宝塚歌劇ですが、完成までには長いドラマが沢山ありました。
最初は劇場を造るのではなく、温泉の隣に国内初の室内プールを造っていました。ですが、完成した室内プールには、暖房も設備も無く、夏でも寒く、当時は男女共泳が禁止だったために、不人気となり閉鎖となりました。
その後、一三さんは、閉鎖された室内プール部分を改装し(脱衣所が舞台でプールが客席)、その劇場でのアトラクションのため、当時人気を集めていた三越の少年音楽隊を模して宝塚唱歌隊を結成しました。失敗からの素晴らしい逆転劇だと思いました。
7月には、記念すべき第一回目の公演が開催されました。その後、「宝塚少女歌劇団」が誕生し、「朗らかに 清く 正しく 美しく」を標榜して、一三さんが自ら校長となり学校を始めました。
教える事は技芸だけではなく、一人の女性として、社会人としての品格を備えるための教育にも力を注いでいきました。さらに、文学青年で芝居好きだった一三さんは、宝塚少女歌劇の更なる人気を求めて、奮闘していきました。

そして、小林一三さんの願いが叶ったのか、宝塚歌劇は昔も今も沢山の人気を誇っています。2014年の宝塚歌劇100周年というニュースから、3年連続で観客動員数270万人を突破しているのです。そんな絶好調な中、2018年にはなんと過去最高の277万人を記録しました。
私は宝塚歌劇が100年続いていたという事にも驚きましたが、さらにずっと功績を伸ばしていたことに一番驚きました。そして、今も宝塚音楽学校のスクールモットーとなっている「清く 正しく 美しく」、一三さんはなんでも残せてしまう人だなと私は思いました。

 

宝塚ファミリーランド

実は、一三さんは宝塚ファミリーランドの前身となるものを造っていたのです。
前年に焼失してしまった劇場の再建にあわせて、4000人が入れる宝塚大劇場と、遊戯施設を設置した遊園地「ルナパーク」をまず造りました。その後に「大植物園」も造りました。そして図書館や屋外プールなどが造られ、温泉・歌劇・動植物園に遊戯施設がそろったテーマパークが出来たのです。
園内の遊戯施設も順次整備されて、ジェットコースターやロープウェーの設置、「宝塚交通館」も設置されました。園内の東側の敷地には、二重大観覧車の設置や急流すべり、お化け屋敷や屋外プールの設置も行われて、施設はさらに充実していきました。それにより、右肩上がりに人気が増えていきました。
しかし、レジャーの多様化や少子化が進み、閉鎖になってしまいました。
最終的には閉鎖という形で幕を閉じてしまいましたが、当時の子どもたちにとっては、一生記憶に残る遊園地になったのでは?と私は思いました。

 

小説家として

沢山の物をつくった小林一三さんですが、実は小説家という一面もありました。
慶応時代、「練絲痕」(れんしこん)という小説を書いていた一三さん。この小説が新聞に載り、たまたま当時起きた殺人事件と話がすごく似ていたみたいでその殺人犯に疑われた、そんなエピソードもあるそうです!
小説を書くことが好きだった一三さんは、小説にこだわらず歌劇の台本や現在の社会(当時)について、エッセイなど様々なジャンルを書いたそうです。
さらに、ヨーロッパ滞在中にもヨーロッパを舞台に小説を書いたそうです。そのヨーロッパで、一三さんは舞台の脚本などを学びました。
それだけ書くことが好きだった一三さんですが、当時の社会にはそれが受け入れられず、それでも書き続け、そして書くことを楽しんでいたそうです。少し胸が締め付けられますが、一三さんの強い思い・情熱が伝わりました。記念館で実際に書いた小説が置いてあり、そこで初めて知りました。

 

取材を終えて…

私はインタビューを通して、小林一三さんは自分のやりたいことを貫き通す生き方をした方だと思いました。
これについて仙海さんも、「思いつきじゃない、調べて確信を持った上で貫き通すという生き方をした方だった」とおっしゃっていました。
私は、今まで宝塚をつくったのは小林一三さんだというのは知っていました。ですが、それ以上のことは知りませんでした。
今回、小林一三記念館に行って、小林一三さんの凄さ・素晴らしさが実感でき、「あの小林一三さんがつくった宝塚なんだ…!」とまちに対する見方が変わりました。
この記事を通して私と同じように感じて頂き、「小林一三さんが造り上げた宝塚に行ってみよう」と思ってくださると嬉しく思います。

アクセス

もし小林一三記念館に行ってみたいと思った方はこちら

小林一三記念館

【住所】〒563-0058 大阪府池田市建石町7-17
*阪急電鉄宝塚線「池田」駅から徒歩約12分。

【電話】072‐751‐3865
【ファクス】072‐751‐2427
【開館時間】10時~17時(入館は16時30分まで)
【観覧料】一般・学生(高校生以上)300円、中学生以下 無料
【休館日】月曜日(ただし、月曜日が祝日・振替休日の場合は翌火曜日休館)、年末年始

このページに関するお問い合わせ

産業文化部 観光にぎわい課
〒665-8665 宝塚市東洋町1番1号 本庁舎3階
電話:0797-77-2012 ファクス:0797-74-9002
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