vol.33 電車のおうちってどんなところ?(2022年8月号)
vol.33 電車のおうちはどんなところ?
今回は、昨年竣工50周年を迎えた阪急電鉄の平井車庫をご紹介します。
平井車庫は、阪急宝塚線の全車両310両を収納している阪急電鉄唯一の全面高架式車庫です。旧池田車庫から移転される際に高架式を採択して作られたこの車庫は、それ以前よりも多くの車両を収納できるようになり、高架下の空間は事務所や予備品の置き場所として有効活用されているそうです。
車庫は車両を収納するだけの場所ではありません。安心安全な運行と快適な時間を過ごしてもらうため、台車や車体、モーターやパンタグラフなどを1日がかりで点検したり、大きな走行音や揺れを防止するための車輪を削る整備など、様々な作業が行われています。
運転を終え入庫した車両は、必ず手作業で車内清掃を実施します。車外に関しては、数日に1度、専用の車体洗浄装置で洗車しており、汚れによって洗い方を変えているそうです。正面の窓や連結部は機械で洗浄することができないため、作業員の方が手作業で洗浄されています。
また、車庫内には「カント付き訓練線」という特殊な線路があります。営業線における曲線での脱線時を想定した復旧訓練を行うことができるこの訓練線は、平井車庫にのみ設置されているため、阪急神戸線や阪急京都線の作業員の方も訓練をするために来られるそうですよ。
「カント」というのは、線路の傾き(左右のレールの高低差)のことで、線路がカーブになっているところに施されています。カーブを走行するときに左右のレールの高さが同じであれば、車体に遠心力がかかり外側に引っ張られてしまいます。この遠心力を最小限に抑えるため、外側のレールを内側よりも高くすることで安定した走行ができます。
阪急電車の快適な乗り心地は、このような多くの努力によって生まれているのですね。この夏は阪急電車に乗って、たくさんお出かけしてくださいね♪
※車庫作業時はヘルメット着用が基本ですが、特別に許可を得て、写真撮影時に限りヘルメット未着用で撮影させていただきました。
【阪急電鉄 平井車庫】
〒665-0816 宝塚市平井7-1-1
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