宝塚の民話・第2集の10
長尾山の五八寸(ながおやまのごはっすん)
明治の初めの頃、山本村のあるお百姓さんが知人と二人づれで、山本の墓地(ぼち)の北にある山中へ薪(まき)を取りに入ったそうです。山へ入ると間もなく、目の前にある草むらが動いています。それにキュウキュウという奇妙(きみょう)な音も聞こえます。二人は不思議に思い、その草むらに近づいて、目を凝らして見ると、太く短い棒(ぼう)のような形をした気味の悪い蛇(へび)がいました。びっくりした二人はころげるようにして村へ逃げ帰りました。
帰ってから村の物知りに聞くと、この蛇は「五八寸」と呼ばれる奇妙な蛇のことだということです。なぜ五八寸というかというと、長さが八寸(約二四センチメートル)、胴の太さが五寸(約一五センチメートル)で太くて短い形をして胴はウロコにおおわれ、ねずみのような尾を持つ恐ろしい毒蛇(どくへび)だからだそうです。
二人はその話を聞いたとたんに気を失ってしまったということです。
この蛇は普通の蛇と違い、地をはわずに胴体を輪のようにして転がったり、頭と尻で反転して進んだり、空中高く飛び跳ねたりできるそうです。
その鳴き方もチイチイ・キイキイ・ギュウギュウといった変わった声で鳴くそうで、人間のようにグゥグゥといびきをかくこともあるようです。
この蛇は五八寸の他、各地域によってノヅチ、ツチノコ、バチ蛇、コロ、ドコ、バチンコ、ツチ、ヨコヅチ、タンコロ、ツチコロビ、トックリ蛇、五十歩蛇(咬まれると五十歩ほど歩く内に死ぬため)などと呼ばれているそうで、いずれもその形や特徴(とくちょう)から名付けられていますが、これまで全国各地で発見されているものの、未だに捕まったものはいないそうです。
挿し絵は、市内在住・在学の市民、児童・生徒から募集したものです。
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